道具

〜書を始める時に揃える道具の選び方〜

前回は、書道を始めるときにどのような道具を揃えればいいのかをお話しました。

もう一度おさらいしますと・筆・墨(墨汁)・硯(すずり)・半紙・文鎮(ぶんちん)・下敷き と最低限、これらの道具をそろえておきたいものです。

初めての道具選び

初めて道具選びをするときはどんな物を選べばいいのでしょうか。道具選びのポイントをご紹介します。

まず、道具を持っている方も、持っていない方もお願いするのが、【筆】と【墨汁】の購入です。これらは字を書くのに一番大切な道具です。状態が良いものをそろえてください。

好みの筆を見つける

なるべく安くで道具をそろえたい方の中には、100円均一のお店で用意される方もいらっしゃるのですが、安すぎる筆は避けましょう。

百円圴一のお店で売っている【筆】は品質が悪いのですぐに、穂が抜けて、使えなくなります。また、古い筆も、穂が抜けたり切れたりします。

『新しい筆が、使わずに残っているのですが?』と、おっしゃる方には、「一度拝見させていただいてから、決めましょうか?」とお話しします。新しく購入される場合は、500円〜1000円の筆がオススメです。

墨汁は腐るんですよ

墨汁は墨とは違って、すぐに使えるのでそろえておきたい道具です。ただし、腐ることがあるので、使う前に状態を確認しないといけません。

墨は、煤(すす)、膠(にかわ)と香料を練って作られます。それを液状にしたものが、墨汁ですが、水分が入っているので腐っていきます。墨汁には香料が入っているので、良い香りがしますが、腐ると、異臭に変わります。また、長時間置いてあると、墨の固形の部分が、沈殿して、墨汁の容器の中で、濃い薄いができて、使うたびに状態の違う墨汁になってしまいます。

購入するときは単価的に安くなるからと、大きい容器のものを買うのでなく短期間で使い切れそうな量の容器の墨汁を買いましょう。ホームセンターや、ショッピングセンター等で、売っている墨は、夏休みや冬休みに、課題で「習字」をする時に購入する学生の方も多いので、休みが終わった後は、比較的新しい墨が買えます。

最近の硯(すずり)は両面使える物もあります

墨を擦って練習をするのでしたら、百円圴一の硯では、上手く擦れないのでお薦めしませんが、墨汁だけを使う場合、余分な墨を落とす事に使うだけなので、品質は気にしなくてもいいです。

重い方が使いやすい文鎮

紙を動かないように押さえる為なので、重さがあれば、使えます。色々な形の文鎮がありますが、実用的な形の長方体の文鎮が収納しやすいです。

下敷きは墨汁を吸う

基本的には、フェルトの生地のものを使います。百円圴一のお店には、ビニールでコーティングされている下敷きもあります。コーティングされているので、墨を弾いてしまいます。次の紙を使う時に、墨が乾かず、新しい半紙に移ってしまうことがあるので、買う時に注意してください。

紙選びは作品の出来に影響します

筆に慣れないうちは、どちらかというと、100円圴一のお店の物の方が、入門編としては扱い易いと思います。100円均一のお店の半紙は、厚くてしっかりしているから書きやすいのです。

以前、参加者から『いつでも描けるように、練習したいので、箱(千枚)で、買いたい。よかったら、先生のオススメの半紙を買ってきていただけませんか?』とご相談を受けたことがありました。書道の専門店の店員の方に訊いて、【始めたばかりの方】にオススメの半紙を購入してきたのですが、100円均一の半紙に比べて、書道専門店の半紙は、薄くて柔らかいんですね。墨の量や、筆を運ぶ速度等で、講座の時に、悪戦苦闘している様子を拝見して、申し訳ない・・・と思っています。

道具選びについて私の考え

書道を始める時に揃える道具について、書いてきましたが、小学生の時に買った習字道具のセットが、入門編としては、オススメです。最近は、大人の入門編のセットを売っているお店もありますし、インターネットでも、購入できますので、探してみてください。習い始める、もう1つ手前の段階で、百円圴一の道具をお試しとして使ってみるのも、いいかもしれません。でも、やっぱり、筆だけは、500円〜1000円の筆を買って欲しいです・・・。