先日、『書道の講師をしている時に気をつけている事』を投稿した際に「筆ペンは苦手です」という感想を書いてくださった方がいました。実は、私も、筆ペンが苦手です。
私と筆ペン
私の場合、特に、芳名帳を書く時に、準備されている筆ペンで書くのが苦手です。だって、私の好きな感触の筆ペンじゃないんです!これを読んで、「?」って思われる方もいるかもしれませんが、筆ペンの穂先って、色々あるんです。小学生の時の書写(書き方)の時間に、フェルトペンって、使いませんでしたか?筆ペンの中には、筆じゃなくて、フェルトペンじゃないの?って思うぐらい硬い穂先のものから、本物の小筆のように柔らかい穂先のものまであります。そして、芳名帳に書く時、準備されているのは、フェルトペンじゃないかと思うほど、硬い筆先の筆ペンが多いです。(私調べですが)硬い穂先の方が、細く書く事が出来るから、そちらを置いてあるのかな?と、いう結論に至ったわけですが、実は、穂先が硬いと線の太さに変化がなく、細い線になってしまうので、字を整えて書くのが難しいと私は、思うのです。書道では、【上手い作品】って、細い太いの変化や、墨の濃さ、潤渇(じゅんかつ。墨が入っているところ、かすれているところ)がバランスよく入っている事が評価の対象になります。筆ペンで名前を書く時も同じで、線に適度な細い太いの変化があれば、体裁よく見えるのではないかな?と思います。(筆ペンは、ボールペンと同じようにインクを使っているので、潤渇を出す事が難しいので、常に墨を含んでいる状態にしておくと良いです。)
遊字(ゆうじ)との出会い
以前【遊字(ゆうじ)】をしている方のお名前を芳名帳で拝見しました。細い太いのメリハリがあり、素敵な文字でした。その方は、普段から書き慣れているということもあると思いますし、筆ペンの使い方をわかって見えるので、出せる線だと思います。
そして、私は、筆ペンで、【遊字】っぽい字を書くのが苦手です。書き方が、私の習っている書道と全く違うのです。話が迷走してきたので元に戻します。穂先の硬い筆ペンは、どうしても、細い線になります。そうすると、少し手が震えただけでも、線がビリビリと震えた線になります。柔らかい穂先の筆ペンでも、線がビリビリとなりますが、それが、味になります。細ければ、上から2度書きして、太い線にしてしまえば良いのです。(流石に、太い→細いは、できません)とりあえず(強引だな)書くことに、慣れるのが上達の第一歩です。
とりあえず筆ペンを持って書く
どこのおうちにも、一本は、筆ペンがあると思います。熨斗袋に書く時だけ使うのは勿体無いので、ちょっと手が空いた時に、広告や新聞の余白に、落書きをしてみるのは、どうでしょうか?線に細い太いの変化をつける方法は、また、書きますね。
参考までに書道の師匠の個展の芳名帳の横には・硯と小筆・筆ペン・フェルトペン・ボールペンが、置かれていました。来場された方に、普段使っている書きやすい筆記用具を使っていただく。という心遣いなのですが、受付にいる先生から「小筆で書きなさい」という無言の圧力を感じました。筆で名前を書くことで、来ていただいた書道の先生方に印象つけて、名前を覚えていただきなさい・・・という事なのですが、今まで芳名帳を書いた中で、 一番緊張した時間でした。